- 2009.06.01
- CASE COMPANY
- 多様な個性が学びあう場所 / 特定非営利活動法人 シブヤ大学
- 「和太鼓を叩いてみよう!」や「明治神宮の森の秘密」などユニークな授業で注目を集めるシブヤ大学。渋谷というエネルギッシュな町を舞台に市民同士が学び合う場を提供しようと、2006年9月にNPO法人が開校した。キャンパスは、渋谷という町ぜんぶ。表参道ヒルズが教室となることもあれば、明治神宮で学ぶこともある。
そんなシブヤ大学が拠点を構えるのは、意外や意外、渋谷区役所の中にある小さな一角。でも一体なぜ、シブヤ大学が区役所の中にあるのか?およそ100名いるスタッフを、どのようにしてまとめているのか? シブヤ大学学長の、左京泰明氏に話を聞いた。

- オフィス空間で最も重要なこと。
- シブヤ大学には、現在およそ100名の運営メンバーがいる。そのほとんどが、シブヤ大学の運営以外にも自らの仕事を抱える、多忙な人たち。メンバー同士が顔と顔を合わせるのも至難の技だ。
そんなシブヤ大学にとって大切なのは、オフィスという“箱”よりも、メンバー同士が集まる“場”。それが喫茶店であれどこかの会社のオフィスであれ、“場”をいかに提供できるかが肝となっている。
現在スタッフ同士が集まる定期的な“場”は、コアメンバーが参加する週に一度の『職員会議』と、毎月第三土曜日の開講日におこなう全体ミーティングのみ。しかし、いや、だからこそ、メンバーはその限られた時間の中で、最大限意見をぶつけ合い、論議を交わすのだ。そこには常に、同じ“場”を共有した者だけが分かち合える、熱気と興奮が溢れている。

- なぜ区役所にあるのか?
- シブヤ大学の運営事務局は、渋谷区役所神南分庁舎の一角にある。これは、シブヤ大学誕生の経緯とも無関係ではない。実はこの企画、もともとは渋谷区が主導となり進めていた企画だからである。
それにしても、特定のNPO法人が区役所内に事務局を構えるのは極めて異例。シブヤ大学の運営以外に区の事業を一部受託することで賃貸契約を交わしていると言うが、区にとってはチャレンジングな試みでもある。行政とNPOは、もっと連携を深めていけるのか。シブヤ大学の成功如何によって、NPO法人への期待はますます高まることだろう。

- シブヤ大学らしさ。
- シブヤ大学のスタッフ構成は、専任スタッフ2名、パートタイムスタッフ約30名、ボランティアスタッフ約70名、の計約100名。その中には、外資系銀行員もいれば、学生もいる。それぞれが持つバックグラウンドや個性、得意とする分野はてんでバラバラだ。
しかし、そのバラバラの個性の集合体こそ、シブヤ大学の特徴とも言える。関われる責任の度合いや業務量によって、パートタイムスタッフとして参加する者もいれば、ボランティアスタッフとして参加する者もいる。ある時は生徒として参加した聴講者が、別の機会では先生として招かれるかもしれない。多様性を受け入れる。その姿勢こそ、シブヤ大学の目指すべきカルチャーだ。

- 特徴的な社内制度。
- 個性豊かなスタッフのアイデアを、最大限引き出す“場”。それが、「ゼルコバ会議」だ。ゼルコバとは、英語でけやきという意味。けやきは渋谷区の木であり、シブヤ大学のロゴにも使われている。参加資格は、アイデアを持参するということのみ。シブヤ大学でやってみたいプロジェクトやアイデアを自由に発表しあい、参加者は絶対にそれを否定しない。ポジティブな雰囲気が、斬新でユニークな企画を生みだしている。
- 仕事を抱えながら、NPO法人に携わるという働き方。それはきっと、今後も増えていくことだろう。もちろん、情報共有のためのメーリングリストや、アイデアを投稿する専用ブログなど、最新のツールも活用する。しかし、やはり顔と顔を合わせる場は非常に重要だと左京さんは語る。人と人が出会い、安心する、刺激を受ける、発見をする……。改めて、“場”が持つ意味というのは大きいと感じた。
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学長 左京泰明氏

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